【身体障害者補助犬の普及活動への支援】 スカラー研修報告 2002年 (1)

介助犬から学ぶリハビリテーション

山口コ・メディカル学院 作業療法学科 講師
窪田高志(くぼた・たかし)

 私は現在、作業療法士の養成校に勤務しています。もともとの犬好きが高じて、自分の専門性を活かせる動物介在療法や介助犬の存在に以前から強い興味をもっていました。2001年の秋頃、作業療法協会のニュースに、介助犬トレーナー奨学生募集の記事が掲載されました。そのとき私は、家庭や仕事、費用の問題、英会話の不安など後先を考えず、何はともあれと思い応募をしました。幸いにも書類・面接の選考を経て、晴れて国内研修や2カ月半にわたるアメリカでの海外研修などの貴重な体験させて頂きました。

 国内研修では、人と動物の関係を考える上で、動物福祉論や動物介在療法、障害福祉学などその基礎となるべき領域を学びました。同時に国内の介助犬事情や育成現場の見学、ユーザーのお宅で実際の生活場面を拝見させて頂き、改めて介助犬の育成の難しさや介助犬の素晴らしさを教えて頂きました。帰国後は、アメリカ研修の際、講師兼研修のコーディネイト、生活全般の面倒をみて頂いたテリー・ライアン氏による犬の行動学を再び学ぶ機会が与えられ、研修の総決算の場となりました。

 この経験をどのように活かしたいか? 活かせるのか? このテーマに対して、今の私には明確な答えを打ち出すことはできません。ただ作業療法士として、介助犬との暮らしが人の健康や生活にどのような影響を与えるのかを実証していく取り組みや、身体障害者補助犬法のもとで繰り広げられる、介助犬の希望者との合同訓練場面などでの専門的な援助や介助犬のトレーナーの方、利用者の方、そして医療関係者との橋渡しや情報の調整、問題解決などコーディネーター的な活動ができたらと漠然と思っています。しかし、そのためにはまだまだ学ぶ点が多く、これからもこのような研修に積極的に参加してゆくつもりです。

表1. 国内研修の概略
期間 場所 主な内容(講師)
5月16日〜20日
東京
動物介在療法・介助犬訓練概論・動物福祉論
介助犬・盲導犬育成団体の施設見学・ユーザーとの面談など(山﨑恵子・高柳友子)
6月14日〜16日 東京
介助犬に関する獣医学・障害福祉学・法学・公衆衛生学(山﨑恵子・鷲巣月美・原和子・渡辺正昭・赤尾信明)
11月16日〜20日
横浜
犬の行動学・ドッグセンス(テリー・ライアン)

この研修を通じての大きな財産は、これまでまったく縁のなかった育成団体・犬のトレーナー・訓練士の方々など、数多く方々と知り合いになれたことです。またスーザン・ダンカン氏を始め、国内外を問わず、多くの介助犬ユーザーに出会い、その生活を肌で感じられたことは、なにものにもかえられない貴重な経験となりました。

 私にとって、始めての長期の海外生活は、忘れかけていた感覚「初めての○○をした」という体験の連続でした。日々の仕事に追いまくられ、ともすると感動することが少なくなった私自身の生活に、小さな感動や新鮮な変化を数多く与え、そして元気づけられました。

 最後になりましたが、この研修を支援していただきました御社のご支援や多くの関係者に深く感謝いたします。

■ポートエンジェルスの市立図書館で実施されていた動物介在活動のプログラムの一例 子供に対する絵本の読み聞かせのプログラムの体験 ■チキンキャンプにご自分の介助犬をつれて参加されていたユーザーの方。いつも非常に熱心にトレーニングに打ち込む姿に感心させられた。
■受刑者による介助犬の育成プログラムの見学にために訪れた、ワシントン州最重警備女子刑務所の玄関にて ■スーザン・ダンカン氏と一緒に訪れたシアトルのドッグシェルターにて 収容されていた犬から介助犬の適性を一緒に考えてみた。
表2:海外研修の概略
講師氏名(アメリカ)
略歴
テーマ
スーザン・
ダンカン
◆看護婦
◆介助犬使用者(多発性硬化症)
◆デルタ協会ナショナルサービスドッグセンター前所長
◆障害問題コンサルタント
(2) 米国社会における介助犬の位置付け及び問題点
(3) サービスドッグと医療従事者の役割
テリー・
ライアン
◆家庭犬しつけインストラクター
◆全米家庭犬しつけインストラクター協会元会長
◆(社)日本動物病院福祉協会
家庭犬しつけインストラクター養成講座責任者
(1) 犬の学習原理
(2) 訓練方法
(3) 犬の行動管理の指導法
《すべて実習犬で実施》
アン・ハウイ ◆ソーシャル・ワーカー
◆動物介在療法コーディネーター
◆デルタ協会活動参加動物適正審査員
(共同で介助犬のトレーニング及び関連課題を教える。)
(1) サービスドッグとセラピー・ドッグの違い
(2) サービスドッグを処方する
(3) サービスドッグトレーニングの基礎
(4) サービスドッグの訓練
(障害にあわせてのポジショニング)
(5) サービスドッグの訓練
(使用者から離れての遠隔作業)
(6) サービスドッグのアクセスを確保するための必要事項
(7) クリッカー等訓練用具を使用できぬ障害者のための訓練指導
キャシー・
サダオ
◆作業犬及び家庭犬トレーナー
◆元海洋哺乳類トレーナー